以上のことをまとめると、荒川中・下流域においてハンノキは
1:人為的な撹乱の起こった立地
2:地下水位にはそれ程左右されない
3:親木が近くに存在する
の条件で一斉更新によって更新する。その後、地下水位の浅い立地であれば、他種の実生は過湿なため発育不良となり、枯死してしまうと考えられる。その結果その林分は階層構造が発達せず、個体密度が低くて種の多様性が乏しいというハンノキタイプの外分に特有な特徴を保ったまま生長を行う。しかし、地下水位が深い立地ではエノキやゴマギ、ムクノキなどが侵入後に定着、生長を行うことができ、その結果ハンノキタイプの林分からエノキタイプの林分へと群落の移行が起こることが考えられる。クヌギタイプの林分はクヌギの実生・稚樹がいずれの群落にも出現しないことから、植林が放棄された可能性が高いと考えられる。
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